イギリス人が幽霊好きであり、多くの幽霊スポットがあり、幽霊マニアと
言われる人たちがいることは、前にお話したことがあります。
「クリスマス・キャロル」はイギリス、ロンドンを舞台にしたチャールズ・ディケンズの代表作です。
ディケンズといえば、日本では、「オリヴァー・トゥイスト」の方が有名
ですが、イギリス人にとっては前者の方がもっと親しみがあるようです。
クリスマス前になると、ロンドンの目抜き通りにあるデパートのショーウィンドーに、一目で「クリスマス・キャロル」の愛すべき登場人物たちだとわかるようなディスプレイがなされるそうです。
これは集英社文庫の同小説の中にある、木村治美さんの文章にありました。
ロンドン滞在された経験を元にしたお話で、とても参考になりました。
「クリスマス・キャロル」に登場するクリスマスの食卓は、今も変わらずに残されていて、日本での
お正月のように、定番となっているようです。
メイン料理はもちろんトリの丸焼き。七面鳥とは限らなく、予算と好みで
ダックでも、チキンでもいいようです。
貧しいボッブの家ではガチョウでした。
そして、デザートはクリスマス・プディング。これは、とってもとっても甘くて、また肉汁を加えてあり、日本人好みの味ではないようです。
また、幽霊についてはこのように言っています。
イギリスには幽霊がよく姿を見せる。
建物が古いので、かつてそこに住んでいた人が、死んだ後も
そのままそこに住んでいるに過ぎないと考えてもよい。
…幽霊人口はとても多く、幽霊出没認定協会とかいった、いかにも
イギリスらしい組織があり、
よく調査した末、確かにこの建物にはこの幽霊が出るという
認定書を発行してくれるらしい。
建物が古いので、かつてそこに住んでいた人が、死んだ後も
そのままそこに住んでいるに過ぎないと考えてもよい。
…幽霊人口はとても多く、幽霊出没認定協会とかいった、いかにも
イギリスらしい組織があり、
よく調査した末、確かにこの建物にはこの幽霊が出るという
認定書を発行してくれるらしい。
イギリスの文学作品にはよく幽霊が登場するといいます。
シェークスピアの「ハムレット」にも重要な役割として、ハムレットの父(先王)の幽霊の存在がありますが、ディケンズはマーレイの幽霊を説明する前置きとしてそのことに触れています。
木村治美さん曰く、フランスの文学作品にはないから、
「まるで幽霊は、あの狭いドーバー海峡が渡れなかったみたいだ」ということ。
そして、妖精、幽霊、死神のようなものが当然のように登場するのは、
ケルト神話に影響を受けているのであろうということです。
また、イギリスの幽霊は不気味ではあるが、「良き幽霊」が多いのではないかというのです。それに対して日本の幽霊は「うらめしや〜」と言って祟るものが多いというのは、その通りです。
クリスマスにはすべての死者が蘇り集うという、仏教のお盆のような言い伝えもあるようですね。
良き幽霊の雰囲気が、歴史と共に息づくイギリス、そしてロンドン。
きっと、このクリスマスにも、同じような精霊による奇跡が起こるのではないでしょうか。
イギリスでもそうなように、欧米ではクリスマスは家族の行事です。
今でもキャンドルを灯したりして、国や地方によって少しずつ違っても定番のご馳走を囲むのです。
日本のお盆やお正月のような、伝統的なものなんですね。
日本でも今や独特のクリスマス文化があります。クリスマスキャロルが流れるキリストの生誕を祝う雰囲気は全然ありませんが…。
たとえケンタッキーであっても、トリを食べ、なぜかケーキで祝い、
サンタクロースとクリスマスツリーが街に溢れて、個人の家庭でも
イルミネーションで飾る家が増えてきました。
昨夜の暮れ初め、パパと一緒に上の子二人がクリスマスプレゼントを買いに行っている間、まだサンタクロースを信じて疑わない下の二人の子たちと、歩いて近くの店まで買い物に行きました。
その途中通っていく家々の中で、きれいなイルミネーションのある家が
いくつもあって、ことのほか楽しい散歩になりました。
こんなクリスマスの伝統も何もなかった日本の国にも、年中行事として定着したクリスマスというのは、意味があるものかもしれません。
きっとスクルージに現れた「心優しい幽霊」が、
クリスマスをお金儲けの道具にしている金の亡者のような人の前に
現れるかもしれません。
そんな噂をどこかで聞いたら教えてください。
では、また追々…。
メリークリスマス!
May God bless you!
現代のニューヨークにリメイクしたコメディー映画「三人のゴースト」
ミュージカル版映画、感動作「クリスマス・キャロル」
初版当時の挿絵も、訳もいい。小説の単行本
参考にした木村治美さんの文章はこちらの本に掲載されています。小説(文庫本)
ミュージカル版映画、感動作「クリスマス・キャロル」
初版当時の挿絵も、訳もいい。小説の単行本
参考にした木村治美さんの文章はこちらの本に掲載されています。小説(文庫本)
写真はひでわくさん
「山手ベーリック・ホール世界のクリスマス2010フィンランド窓飾り/色」
「山手ベーリック・ホール世界のクリスマス2010フィンランド窓飾り/色」