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2011年04月11日

行く春は悔ゆ?!(ゆくはるはくゆ)回文の歌と「いろは歌」


2011.04.10 極楽寺 山門とさくら.jpg


満開の桜はすでに散る予感を感じさせます。春は別れと出会いの季節ですね。

惜しめとも ついにいつもと ゆく春は
悔ゆともついに いつもとめしを

上記の歌は、回文になっています。上から読んでも下から読んでも同じという、言葉遊びです。
今の季節に合っているような気がするので、紹介します。
言葉遊びの短歌ながら、いってしまう春を惜しむ歌としてまとまっているようです。


藤原基俊の歌として伝わっているのが、
群草に草の名はもし備はらば 
なぞしも花の咲くに咲くらむ


また回文というのは終わりがなく、おめでたいということで、
七福神の宝船とともに書かれてきた和歌があります。

永き世の 遠の眠りのみな目ざめ
波乗り船の音のよきかな

初夢に見ると縁起がいいということで、枕の下にこの和歌を書いた紙をおいて寝るといいと言われているそうです。次の元旦にはどうぞ、お試しください。


回文というのは、日本語だからできると思っていたら、英語にもあるんですね。“Madam, I'm Adam.”
“Able was I ere I saw Elba.”

数字でもあるということです。
1234+8765=9999=5678+4321
111111111×111111111=12345678987654321=111111111×111111111

音楽でも、バッハの逆行カナンやモーツアルトの曲に、そんなものがあるようです。
いろんな世界で遊び好きな人たちが古来からいたようですね。


また、言葉遊びに話を戻すと、
「いろは歌」は、昔のかな文字を過不足なく使って、見事な歌にしています。
これを昔の人は諳んじていたのです。
今の50音の配列は合理的ですが、遊び心、歌心の込められた「いろは歌」には到底及びません。

色は匂へど 散りぬるを
我が世誰そ 常ならむ
有為の奥山 今日越えて
浅き夢見じ 酔ひもせず

いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせす

意味を書くと何か風情はなくなってしまうのですが
「花は咲いても散ってしまう。
この世にずっと変わらず存在し続けるものなんてありえない。
『人生」という険しい山道を今日もまたひとつ越えて
はかない夢は見たくないもの、酔いもしないで。」
というような意味になります。

昔の人のこんな遊び心は、現代にも受け継がれていると思うのです。
誠実さの中にも、遊び心をもって、この春の日を過ごしてみてください。


「桜 V 」ピアノ音楽 "Sakura V" Piano Composition
山中允


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写真は、ひでわくさん「極楽寺 山門とさくら」



posted by kuri-ma at 08:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 私の本棚 文学の香り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月19日

幽霊好きな“ロンドンっ子”の「クリスマス・キャロル」2


2010.12.08山手ベーリック・ホール世界のクリスマス2010フィンランド窓飾.jpg


イギリス人が幽霊好きであり、多くの幽霊スポットがあり、幽霊マニアと
言われる人たちがいることは、前にお話したことがあります。

「クリスマス・キャロル」はイギリス、ロンドンを舞台にしたチャールズ・ディケンズの代表作です。
ディケンズといえば、日本では、「オリヴァー・トゥイスト」の方が有名
ですが、イギリス人にとっては前者の方がもっと親しみがあるようです。

クリスマス前になると、ロンドンの目抜き通りにあるデパートのショーウィンドーに、一目で「クリスマス・キャロル」の愛すべき登場人物たちだとわかるようなディスプレイがなされるそうです。

これは集英社文庫の同小説の中にある、木村治美さんの文章にありました。
ロンドン滞在された経験を元にしたお話で、とても参考になりました。

「クリスマス・キャロル」に登場するクリスマスの食卓は、今も変わらずに残されていて、日本での
お正月のように、定番となっているようです。

メイン料理はもちろんトリの丸焼き。七面鳥とは限らなく、予算と好みで
ダックでも、チキンでもいいようです。
貧しいボッブの家ではガチョウでした。

そして、デザートはクリスマス・プディング。これは、とってもとっても甘くて、また肉汁を加えてあり、日本人好みの味ではないようです。

また、幽霊についてはこのように言っています。
イギリスには幽霊がよく姿を見せる。
建物が古いので、かつてそこに住んでいた人が、死んだ後も
そのままそこに住んでいるに過ぎないと考えてもよい。
…幽霊人口はとても多く、幽霊出没認定協会とかいった、いかにも
イギリスらしい組織があり、
よく調査した末、確かにこの建物にはこの幽霊が出るという
認定書を発行してくれるらしい。


イギリスの文学作品にはよく幽霊が登場するといいます。
シェークスピアの「ハムレット」にも重要な役割として、ハムレットの父(先王)の幽霊の存在がありますが、ディケンズはマーレイの幽霊を説明する前置きとしてそのことに触れています。

木村治美さん曰く、フランスの文学作品にはないから、
まるで幽霊は、あの狭いドーバー海峡が渡れなかったみたいだ」ということ。

そして、妖精、幽霊、死神のようなものが当然のように登場するのは、
ケルト神話に影響を受けているのであろうということです。

また、イギリスの幽霊は不気味ではあるが、「良き幽霊」が多いのではないかというのです。それに対して日本の幽霊は「うらめしや〜」と言って祟るものが多いというのは、その通りです。
クリスマスにはすべての死者が蘇り集うという、仏教のお盆のような言い伝えもあるようですね。

良き幽霊の雰囲気が、歴史と共に息づくイギリス、そしてロンドン。
きっと、このクリスマスにも、同じような精霊による奇跡が起こるのではないでしょうか。

イギリスでもそうなように、欧米ではクリスマスは家族の行事です。

今でもキャンドルを灯したりして、国や地方によって少しずつ違っても定番のご馳走を囲むのです。
日本のお盆やお正月のような、伝統的なものなんですね。


日本でも今や独特のクリスマス文化があります。クリスマスキャロルが流れるキリストの生誕を祝う雰囲気は全然ありませんが…。
たとえケンタッキーであっても、トリを食べ、なぜかケーキで祝い、
サンタクロースとクリスマスツリーが街に溢れて、個人の家庭でも
イルミネーションで飾る家が増えてきました。

昨夜の暮れ初め、パパと一緒に上の子二人がクリスマスプレゼントを買いに行っている間、まだサンタクロースを信じて疑わない下の二人の子たちと、歩いて近くの店まで買い物に行きました。
その途中通っていく家々の中で、きれいなイルミネーションのある家が
いくつもあって、ことのほか楽しい散歩になりました。

こんなクリスマスの伝統も何もなかった日本の国にも、年中行事として定着したクリスマスというのは、意味があるものかもしれません。

きっとスクルージに現れた「心優しい幽霊」が、
クリスマスをお金儲けの道具にしている金の亡者のような人の前に
現れるかもしれません。
そんな噂をどこかで聞いたら教えてください。
では、また追々…。
メリークリスマス!
May God bless you!

2010.12.08山手ベーリック・ホール世界のクリスマス2010フィンランド色.jpg
 

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現代のニューヨークにリメイクしたコメディー映画「三人のゴースト」
 

ミュージカル版映画、感動作「クリスマス・キャロル」


初版当時の挿絵も、訳もいい。小説の単行本


参考にした木村治美さんの文章はこちらの本に掲載されています。小説(文庫本)


写真はひでわくさん
「山手ベーリック・ホール世界のクリスマス2010
フィンランド窓飾り/




posted by kuri-ma at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 私の本棚 文学の香り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月18日

幽霊が氷のような人の心を変える奇跡?! 「クリスマス・キャロル」1


2010.12.08山手ベーリック・ホール世界のクリスマス2010フィンランドツリー.jpg


ディケンズによって書かれた「クリスマスキャロル」は1843年12月17日
あるいは19日に発行されました。

クリスマスキャロル.jpg


話はクリスマス・イブ、街角ではクリスマス・キャロル
(キリストの誕生を祝う歌)が聞こえ
厳しい冷え込みの一日だったが、金持ちで
この上ない守銭奴のスクルージにとっては
寒さも(暑さも)何の影響も与えない
彼ほど冷酷な人間はいないのだ
彼は訪れた甥の快活なクリスマスの挨拶と招待を、にべもなく断り
丁重に寄付を求めてきた紳士たちを、辛らつな言葉で追い払い
クリスマス・キャロルを歌った若者を震え上がらせて
事務所に務める書記(ボッブ)には、ろくな報酬も与えず
水槽のように冷えた部屋にいさせて、それでも給料泥棒のように言っている

誰もとかすことはできなかった彼の心を変えさせたのは
7年前に他界した共同経営者マーレイの幽霊と
三人の精霊たちだった
マーレイは過去の罪のために、鎖でがんじがらめになっていた
彼と同類のスクルージも同様に
既にこのような見えない鎖を自分で作っているのだと言う

そして予告どおり現れたのが、まず「過去のクリスマスの精霊」
彼はスクルージを少年時代に連れて行った
そこには孤独な、文学を愛する少年(スクルージ本人)がいて
また彼をこよなく愛してくれた優しい妹も登場する
次には若い頃の勤め先での、この上なく楽しかった
クリスマスのパーティーで幸せを思い出す

そして、(守銭奴となり始めた彼に絶望した)恋人との別れのシーン。
その恋人がその後築いた温かい家庭も精霊は見せ
彼が、その冷たい心によって失ったものを、教えてくれたようだった

そして、「現在のクリスマスの精霊」は、まず
彼が雇っている小男のボブの家庭へと彼をいざなう
彼はこの上なく貧乏な生活をしていたが、家族に愛されていた
子どもたち、中でも障害を持った末の男の子ティムの
純粋無垢さに彼は心を奪われる

そして、甥の家庭では、仲間たちを呼び
新婚の妻とその妹たちが素晴らしい食事を準備していた
スクルージは誰にも見えない存在になっているにもかかわらず
その場にいるのが楽しくなり
人知れずゲームでも声を張り上げて答えを言って参加していた

彼は、ボブの子ども、ちびのティムのことを心配するが
「未来のクリスマスの精霊」は
この子が死んでしまった嘆き悲しむ家族の姿を見せ
更に、ある老人の死を見せる
同業組合の誰も彼の弔いすら喜んでしたがらず
家の物や、着ていた服まで剥ぎ取り売る者がいて
無残に一人部屋に転がされていた死体
それがスクルージ自身だと知って呆然となる

彼はちびのティムのために、そして自分自身の無残な死のために
心から生まれ変わることを誓う

そして目覚めると、時はクリスマスの朝に戻っていた
スクルージは誓いどおりに生まれ変わり、ボブの家には大きな七面鳥を届け
街角の子どもにはお駄賃をあげ、多額の寄付を申し入れ
また甥の家に遊びに行き、明るく楽しく過ごした
そして、ちびのティムは死ぬことはなく
スクルージは彼の第二の父親になった

“May God bless you!”
「神様が私たちすべてに祝福を与えてくれますように」という
ティムの言った言葉でこの物語は終わる


幽霊によって、人が心を入れ替えるなんて、幽霊好きなイギリス人らしいですね。変わったことで一番幸せになったのは、スクルージ本人でした。

この「クリスマス・キャロル」は数々映画化されていますし、有名なお話です。
あらすじが長くなりましたので、この他の話は次回に譲ることにします。


物語に登場する「クリスマス・キャロル」を紹介します。

God Rest You Merry, Gentlemen


May God bless you!
よい一日を、そしてよいクリスマスを

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写真はひでわくさん
「山手ベーリック・ホール世界のクリスマス2010フィンランドツリー」





posted by kuri-ma at 06:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 私の本棚 文学の香り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする