私と小鳥と鈴と
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
◇
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
◇
この詩は金子みすゞの代表的なものの一つですね。とても、きれいでみすゞらしい表現、その当時では、かなり斬新かというような感性です。
有名な詩なのに、なぜ今までこの詩を紹介しなかったかというと、「個性」の貴重さを宣伝するものになっているのはいいのですが、本来みすゞは純粋な思いで書いたのに、捻じ曲げられるような気がして、なんとなく、(この詩を)そっとしておいてあげたい、と思ったからです。
「みんなちがって、みんないい」というのは、よいところが、みんないいのであって、個性の賞賛のようなものです。
しかし、自分が人と違う点を認めろというものではなく、ましてや病気や障害や、悪い癖、犯罪の部分までも、いいとはいえないでしょう。
病気や障害を持ってしまった人が、究極的な境地として、「私はこの病気(障害)を持ったからよかったのだ」と悟ることもあるでしょうが、本来病気や障害自体は、忌むべきものです。克服すべきは克服しようとするでしょう。
その人たちを差別したりは、もちろんしませんが。
そして悪癖や犯罪に関しては、認めることはできません。
この場合もだから嫌悪して蔑視するとかは、あってはならないことですが、だからといって、「いい」と認めることは断じてできないのです。
同性愛の賛歌、のようにされるのは、がまんならないことです。
そんな微妙な点から、避けてきた詩ですが、とてもかわいく、爽やかでしょう。
それは、みすゞの心が、とても澄んでいて、私がごちゃごちゃ考えてしまっているものを越えて、まっすぐに迫るものがあるなぁ、と思うのです。
真実は心を打ちますね。
「本当のことがいちばんいい」と、相田みつをさんも言っています。
汚いものにこの詩を利用すること、悪いものの隠れ蓑にしたり、歪んだ個性の言い訳に使うことがあるとしたら、本当ではないと思うのです。
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