
「一沈一珠」
海女がいったん海に潜ったら、
どんなに息が苦しくなっても、
一個の真珠を見つけ出すまでは、
決して浮上しない
◇
海女がいったん海に潜ったら、
どんなに息が苦しくなっても、
一個の真珠を見つけ出すまでは、
決して浮上しない
◇
ソチ五輪が幕を閉じました。
2週間の間、様々な感動を分けていただきました。
オリンピックは、参加することも意義のあることですが、その中で頂点を極めるということは、本当にスペシャリストの中のスペシャリスト、しのぎを削るものがあります。
誰もが一生懸命がんばっていて、多くの人の力が合わさって、その時の運のようなものも絡んで、差がほとんどないところで、結果が出てきます。
トップになった人にもドラマがあり、惜しくもメダルを逃した人にも、感動の物語があります。
「感動というのは、感じて動くと書くんだなぁ」という相田みつをさんの言葉がありますが、五輪というのは、心をわしづかみにされることが連続で起こります。
本物に触れられるから、すべての選手が体当たりで一生懸命にやっているから、いいんでしょうね。
嘘とか演技とか、繕いとか、たとえあったとしても、それだと結果が出ないことでしょう。
スペシャリストたちにとっては、一定の水準までできることは、当たり前のこと。
その一つの基準を超えた人たちの、必ず出してくる結果があります。
それを海女にまつわる言葉で、「一沈一珠」というのだそうです。
素晴らしい言葉ですね。
◇
一沈一珠(いっちんいっしゅ)という言葉があります。青森在住の木村将人さんから教わりました。
木村さんは大学生の頃、二人一組でやる、肉体的に非常にきついアルバイトをしたことがあったそうです。ある夜、寝起きを共にした大学浪人中の相棒がいいました。
「自分は母一人子一人の身なのだが、きっと大学に入って母を安心させてやりたい。卒業して仕事に就き、母を楽にさせてやりたい。
自分は小さい頃から、一沈一珠という言葉をかみしめながら頑張ってきた。海女がいったん海に潜ったら、どんなに息が苦しくなっても、一個の真珠を見つけ出すまでは、決して浮上しない。というところからこの言葉はできたらしい。
自分はいままで何度もつらい思いをしてきたけれど、その都度、この言葉を思い出して生きてきたんだよ」
一夜、一緒にアルバイトをした相棒が漏らしたこの言葉を、木村さんはいまも忘れないといいます。
一沈一珠──すばらしい言葉です。本書に収録された5つの物語に登場される人たちに思いをはせる時、そこに共通しているのは、この「一沈一珠」の生き方ではないだろうかと思います。
藤尾英昭=文
「心に響く小さな5つの物語U」 あとがきより
(抜粋編集しています)
「心に響く小さな5つの物語U」 あとがきより
(抜粋編集しています)
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フェイスブック(FB)などで出回っている感動話の中に、捏造があったり、それどころかそれを利用した悪質なものまであるようです。
私も、FBで回ってきた感動話に涙して、すぐに「いいね!」をして、時にはシェアまでしています。このブログにもいくつも紹介してきました。
出典がはっきりしているものもありますが、実はよくわからないものもありますね。
ただ、私に回ってくるまでに、多くの人が感動したから、私にまでつながってきたわけです。それくらい感動話には力があるということでしょう。
誰かが書き加えたりすることはできるのですが、大体は、コピペでそのごとく伝えることが多くなった現代、伝言ゲームのようにとんでもないことには、あまりならないように思います。
とはいえ、こうやってSNSが広がる前、チェーンメールで広がった「100人の村」というメッセージがありましたが、これには同性愛賛美の一文が加えられ、広く伝わってしまっています。
悪意や何らかの意図があれば、変わる余地はいくらでもあるということなのですが…。
ちなみに、今日紹介している「心に響く小さな5つの物語U」については、1話以外は、ネット検索しても、出てこないということは、誰も紹介していないのでしょう。
ですから、全部、私がタイピングしました。それなりに労力を使っています(笑)。
感動話というのは、実話というのが前提ではありますが、多くの人が心を動かされたということなのですから、それだけですごい、とも思います。
私は創作もする人なのですが、人が感動する話を、作り上げるということは、それが全くのフィクションであればあるほど、難しいことではないでしょうか。
事実は小説より奇なりというように、すごいことは私たちの身近にも起きていると思うのです。
特に子どもが小さいころは、ささやかなことですが、感激や感動、笑いの連続だったような気がします。今でもそうですが。
悪意のある捏造やデマは許せませんが、美談がたとえフィクションでも、私はその美談には罪がないと思うのです。
多くの人を感動させたこと、その一人ひとりとの出会い、その人が感動した心というのは、嘘はなかったと思うので。
感動は人の心を洗い、時にはその人の人生を変えるほどの大きなパワーを与えます。
事実がどうか、よりも人はデマを信じることもあります。
デマや噂話ほど、まことしやかに伝わることもあります。しかし、できるなら、そういう話はほっておいて、いい話こそを、伝えていきたいものです。
たとえ、ほら話であったり、誇張が混じっていたとしても、いい話であるなら、嘘から出たまこと、ということもありえます。
いいことであるなら、悪い結果はでないのです。
もちろん、故意に捏造したり、悪意や利己的な金儲けのためにすることはよくありません。
そういうものは、胡散臭い雰囲気が漂います。
また、もしも感動話を利用して、騙して何かしようとするとしたら、感動話から逆襲に遭うことでしょう。
罪のないほら話は、人を愉快にさせたりもしますが、悪意のある場合は、その分だけ自分の首を絞めることになるのではないか、とこう思います。
以前紹介した椋鳩十さんのお話では、『ジャン・クリストフ』に感動して人生を変えた人が出てきます。
『ジャン・クリストフ』というのはベートーベンをモデルにしていますが、フィクション小説です。作者のロマン・ローランはベートーベンに思い入れがあったようで、彼に関する本も書いていますが、それも必ずしも事実ではない部分があると判明しています。
作り話に感動して、人生を変える、そういうこともアリなのですから、感動話について、これ実話じゃないんじゃないかと勘ぐったりする必要はないのではないかと思うのです。
たとえ、作り話に感動してしまったのだとしても、それで泣いた人の心は、その涙で洗い流されてきれいになり、感動に膨らんだ心は、パワーが満ちているのです。何も損はないのではないでしょうか。
ということで、感動エピソードはこれからも発信していきたいと思うのです。
一沈一珠、一度始めたからには、よいもの、キラッと光る珠玉を見つけて発信し続けます。
閉会式に参加した日本選手団、ソチ五輪
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