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2011年09月22日

りんごは「苹果」って知ってました?! 宮沢賢治の心


99809438_v1316650207岩手の海岸.jpg


ひとはすでに二千年から
地面を平らにすることと
そこを一様夏には青く
秋には黄いろにすることを
努力しつづけて来たのであるが
何故いまだにわれらの土が
おのづからなる紺の地平と
華果とをもたらさぬのであろう
向うに青緑ことに沈んで暗いのは
染汚の象形雲影であり
高下のしるし窒素の量の過大である

               
宮澤賢治



昨日は宮沢賢治の命日でした。以前、「雨ニモマケズ」は紹介したことがありますが(こちら)今日はこの季節の頃の賢治の詩を紹介します。

九月なかばとなりて
   ようやくに苹果青(りんごせい)のいろなせる
稲の間を
   農事試験場三十年の祭
見に行くという人々に伴いて
   あした(朝)はやく急ぎ行きしに
   蜂の羽の音しげく
   地平のはてに汽車の黒きけむりして
   エーテルまたはクロロフォルムとも見ゆる
   高霧あえかに山にかかりき



りんごというのは、林檎という漢字しか知りませんでしたが。苹果と表記されていたようですね。
調べてみると、中国ではりんごは苹果といい、林檎という果実はあるのですが、りんごではない他の果実を言うようです。
賢治は「苹果」という言葉にこだわって使ってきたようですが、日本語としては、今ではほとんど残っていませんね。

「稲」は賢治には特別の関心と思いがあるものでしょう。少し、薄い黄色になってきたということでしょうか。

汽車の煙を、「エーテル」とか「クロロホルム」で比喩していますが、エーテルとは物質界に漂っているとしてかつて(19世紀までは)信じられていたものだといいます。クロロホルムも匂いは特殊だといいますが、無色透明な薬品です。汽車の煙が高い霧となったように美しくほのかに漂っているのでしょう。


下はもう少し秋めいた頃の歌でしょうか。賢治の直筆楽譜もあり、曲風は穏やかな賛美歌かなぁという感じになっています。
こういうのが情景的にはミレーの落穂ひろいに通じるものがありますね。

kobo.jpg

耕母黄昏

風たちて樹立さわぎ
鳥とびてくれぬ
子らよ待たん いざかへれ
夕餉たきてやすらはん

風たちて穂麦さわぎ
雲とびてくれぬ
子らよ待たん いざかへり
夕餉たきていこひなん



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写真は:「岩手の海岸」
akemiさん
撮影者に許可を得て使用しています
無断転用はご容赦願います



posted by kuri-ma at 11:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 私の本棚 文学の香り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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