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「ホッとする」
疲れを癒し、感謝を伝える
「ホッとする」
疲れを癒し、感謝を伝える
「ホッとする」という言葉には深い癒しの要素が存在すると感じます。
言われて嬉しく、自信にもつながる言葉です。
「この場所に来るとホッとする」と口にしますが、それはその場所が発するエネルギーと自分が発するエネルギーが、絶妙にリンクしているからです。
その人物といるとなぜかホッとするというのは、お互いの出すエネルギーがリンクしている証拠です。同調(シンクロ)している。自分とその相手が周波数を出しているというわけですね。
日本では「なごみブーム」が定着した感があります。このなごみを代表する言葉が「ホッとする」です。
私たちは毎日せわしない生活でどこか疲れています。身体面の疲れより精神面での疲れは長引きます。だから本能的に「ほっとできる状況」を望むわけです。
何気ないフレーズですが、自分がいかになごめるかという感謝のメッセージをこれほど短く表現できる言葉もありません。
矢作直樹
『「あの世」と「この世」をつなぐ お別れの作法』
第四章「幸せなお別れを約束する言葉」より
『「あの世」と「この世」をつなぐ お別れの作法』
第四章「幸せなお別れを約束する言葉」より
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以前、「楽しそうだね」という言葉を紹介しましたが、それと似て、この「ホッとする」という言葉も、人に対しても使えますが、いろんな場所や状況に対しても使えます。
ホッとするという言葉は実に不思議で、効果が表れやすいような気がします。
「ホッとする」と言えば、そう宣言したと同じで、私自身が癒されホッとする存在を得たということになるのではないでしょうか。
なんだか心の緊張が解けて、ゆるやかな、ゆったりとした気持ちになり、それだけで癒された気分が増してくるようです。
医療関係者の矢作先生ならではの、言葉に対する発見かなぁと思います。こういう何気ない言葉ですが、価値があると気づかせて頂きました。
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さて、下に付けたニュース記事は、上の話とは正反対の内容です。
「子どもを誘拐されるのは、心臓を引きちぎられるよりつらい。もし心臓をちぎられたらすぐに死ねるでしょう。でも子どもが誘拐されると、毎朝目を覚ましたときから、心配で胸が痛いのよ」
人身売買の横行する中国で、17年もの間子どもと生き別れたお母さんのコメントです。
きっと、心配で気が休まることのない状態だったのでしょう。
そんな時であったとしても、わずかな時間でもそれを忘れてホッとすることが出来たなら、気持ちも楽になったことでしょう。
緊張し、心配し続けると、心臓など、健康をそこねてしまいます。
気持ちを切り替え、ホッとする場所、ホッとする時間というのを、短い時間でもいいので、持っていくことは、思いのほか大切なことだと思うのです。
厳しい環境、辛い問題を持つ人こそ、前向きな言葉を必要としているのではないでしょうか。
中国で横行する人身売買、17年かけて息子を捜した女性の悲劇
矢作直樹(やはぎ・なおき)
東京大学大学院医学系研究科救急医学分野教授および医学部附属病院救急部・集中治療部部長。
1981年、金沢大学医学部卒業。その後、麻酔科を皮切りに救急・集中治療、外科、内科、手術部などを経験。1999年、東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学専攻および工学部精密機械工学科教授。2001年より現職。
2011年、初めての著書『人は死なない』(バジリコ)が7万部を超えるベストセラーとなり、話題となる。
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