凶悪な人格の持ち主だから、そういう恐ろしい事件を起こしたんだ、と人は言うでしょう。恐ろしい人間もいるものだ、と。
しかし、私はこのブレイビク受刑者が、生まれた時から、異常な犯罪者となる人間だったとは思えないのです。
「思い」 → 「言葉などに表現」 → 計画を立て準備 → 実行と、犯罪に至るようになるには段階があります。
殺意を抱くことだけなら、誰にもあり得ることかもしれません。
そして、それを言葉に出したり、文章にしたり、サイトで紹介するとなると、擬似殺人のようなもので、行動する一歩手前です。
そして常にそういう考えにとらわれるようになります。
殺人計画を立て始めればそれが妄想でも止まらない勢いをもち、更に計画の準備を始め、そして最後に実行に至るわけです。
普通は、そこまで至る前に終わるのでしょうが、ブレイビク受刑者の場合、何年も掛けて培われた彼の思想とも言うべきものがありました。不幸なことに頭もよく、綿密な計画を立てることができ、強靭な体力と鋼の行動力で、意志を貫徹してしまいました。
彼は自分を選ばれた崇高な人物だと思っているようです。いまだに事件に対して、反省の色はまるでありません。
もう、おそらく彼のその意識を変えるのは、ほとんど不可能というくらい、難しい状況だと思います。
彼は年齢的にも見た目も、立派な大人なのですが、愛情というのが育っていない、と感じます。
実際、彼はしっかりとした愛情を注がれることがない家庭環境に育ったようです。
そして思春期の時に、実父と絶縁してしまいましたし、継父とも関係がよくありませんでした。
思春期の頃、特に男の子は、父親を通して学ぶことが多いのですが、彼は尊敬する人が誰もいなかったのです。あまり立派な父でなかったとしても、母親と仲良くしている、また母親が父を尊敬していれば、子どもは自然に尊敬できるのだといいます。
ティーンエイジャーの子どもたちにとって、家庭での愛と躾がとても大きいのです。
特に両親の不和、不倫や離婚は大きく子どもを傷つけることになります。思春期の子どもの善悪の羅針盤は実は両親です。両親が愛情問題にルーズで浮気問題が表面化していたりすると、子どもは糸が切れた風せんのようになっていきます。善悪の判断は付きにくくなります。
愛情と躾が家庭から得られないこと、「ノーラブ」と「ノールール」が、思春期の子どもたちを不幸の轍にはめてしまいます。
ノールールとノーラブで来てしまった少年たちは、育っていないその心を埋めるために、友人関係や異性関係に走ります。
こうして、羅針盤を失った少年少女たちは愛を間違って使い、あるいは人間のあるべきルールに添えないようになり、非行に走っていくことが多いようです。
性体験は非行や犯罪とは関係がないと思う方もおられるでしょう。いわんや凶暴な事件とはまったく別物だと。
表れかたが違うだけだとも、私は考えています。
ブレイビク受刑者の場合は、このような、凶悪な事件を起こす方向に行ってしまいました。誰も彼を止められなかったし、おそらく、本気で止めようとする者が誰もいなかったのでは、と思います。
彼は塀の中で過ごすしかなく、もう同じような事件を起こすことは今のところできませんが、彼の思いは事件を起こしたことを当然の正義だと思い込んでいるのであり、薬で押さえ込む以外に、彼を止められないのです。
こういう人間にしてはいけない。
彼のような人間が出来上がるのは、彼の問題ももちろんありますが、ここまでにしてしまった、ここまでなるのに何もしなかった親や周囲の問題であると思います。
他人事ではないんですね。
悪人になる素質は大なり小なり誰もが持っていますし、精神に異常をきたすことは、めずらしいことではありません。
そうならないように、プチお祈りから、真剣なお祈りまでしていきたいと思います。子どもたちが、人々が、凶悪な犯罪や、危険な事故に遭うことがありませんように。
そして挨拶から、笑顔から、小さくてもいいから、いいものを伝えていきましょう。
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