いのちの世界
かおりをこめてやっても
造花は やっぱり造花
みつばちが みつを吸うことはない
自然にひらく花たちは
よろこびや悲しみを語らぬけれど
みつばちを蝶も訪れて来て
そこに 一つのふくよかな世界が出来る
いのちがいのちを 呼ぶのであろう
いのちがいのちを 求めるのであろう
造られた花たちは永久に孤独だが
いのちを持つ花に 孤独はない
ひとつの花がひらくと
必ず ひとつの世界が生まれる
――ひとりの人間についても 同じだ
◇
かおりをこめてやっても
造花は やっぱり造花
みつばちが みつを吸うことはない
自然にひらく花たちは
よろこびや悲しみを語らぬけれど
みつばちを蝶も訪れて来て
そこに 一つのふくよかな世界が出来る
いのちがいのちを 呼ぶのであろう
いのちがいのちを 求めるのであろう
造られた花たちは永久に孤独だが
いのちを持つ花に 孤独はない
ひとつの花がひらくと
必ず ひとつの世界が生まれる
――ひとりの人間についても 同じだ
◇
「ひとつの花がひらくと、ひとつの世界が生まれる」という表現は印象的です。
ひとつの命が生まれると、ひとつの世界を生むことができるんですね。
私たちもすでに、そんな私たちそれぞれの貴重な世界をもっているのです。
造花はやっぱり造花…造花にはミツバチは寄って来ない。
という冒頭の言葉は真実を突いていて、本物になれ、というメッセージなのかな、と思ってよく読んでいくと、人間も花と同じ、ミツバチが寄ってくるように、「ひとりではないよ」、これが最終的な宮澤さんの伝えたかったことなのです。
あくまで、やさしい言葉です。
宮澤章二
「行為の意味 青春前期のきみたちに」
「行為の意味 青春前期のきみたちに」