精神力は貯金と逆だ。
引き出し続けることで増してくる。
斎藤茂太
◇
引き出し続けることで増してくる。
斎藤茂太
◇
「対狙撃兵」特殊戦闘員は北アイルランドの19歳、リビア反体制派
国際ニュースAFPBB
国際ニュースAFPBB
引き出しても引き出しても、逆に増えてくるものがあるということです。目に見えるお金は使えば減ってしまいますが、目に見えない「精神力」のようなものは逆に増えていくんですね。逆境ほど人を強くするといいますし。
「心」は使えば使うほど、「幸福」の残高が、増えていくんですね。
「心」がすり減るということがあるんですが、本来増えるはずのものがどうして減ることがあるかというと、ちょっとした使い方の間違いがあるのです。
「心」が豊かになることが、幸せになることです。心が豊かな人、愛情深い人は、お金も人も愛情もよい運気も呼び込んでくるものがあるのです。
幸せというのは、一時的なものを除いて、自分ひとりでは得られないんですね。人との関わりの中で、つまり人を思いやり、愛した分だけ幸せが訪れるようです。
どうしたら、幸せになれるかというと、人を愛し思いやることですが、その時に見返りを求めてしまうことが、まずい場合が多いのです。見返りというのはなかなか得られません。得られないことで、ストレスやなんかになって、心がすり減る現象になってしまうんですね。
偉そうにいいますが、純粋に見返りを求めずに人を愛する、ということはあまりできることではありません。どうしてもどこかに期待を持ってしまうものですが、持たない方が、運気をUPすると思えばいいでしょうか。
たとえば、自分が愛する人には、なんでもしてあげたくなるでしょう。子どもが大きくなるまで扶養して、世話をすることは、その子が成長したら元を返してもらおうなどと思ってしていることではないでしょう。そういう家族を思いやるようなことが、広範囲でできる人ほど、運気を自分で呼び込んでいるんですね。
「陰徳」という言葉がありますが、人の見ていないところで、人のために尽くすことほど尚更いいのです。
幸福の貯金通帳というものがあるとしたら、そこにプラスできるのは、人への「愛」、思いやりです。人に尽くすことが、私たちの見えないバリヤーとなって危機の時に守られたりするんですね。運勢的に強くなるのです。
「打たれ強い」というような人がいますが、ダメージを受けそうなこともダメージにならないんですね。
日本人は気に病む人が多いようです。一生懸命人に尽くすのに、報われなかったり、ストレスばかりで、精神がやられてしまう人が本当に多いのです。
愛情深く、責任感の強い、いい人がうつ病などに掛かりやすいようです。あんまり人のことが気にならない鈍感な人は大丈夫です。
うつ病の場合は他にも原因がありますが、人に尽くしたら幸福になるはずが病気やストレスになってしまう、心がすり減ってしまうのは、どこかに愛がその人のため、という純粋なものではなくて、見返りを求めてしまっていたのでしょうね。こんなにやったのに、と思うのは無理もないことです。ただ、自分のためにはならないようですね。
尽くしたこと、愛したことは無記名で気づかれないようにやったもの勝ちなのです。最初から「した」ということも隠してしまうくらいがいいですね。自分の子どもにしてあげたことを数えていたらキリがないように、自然に忘れるほどのお節介に徹するのがいいですよ。
「足ながおじさん」になる。一時期「タイガーマスク現象」が起こっていましたが、そういう誰かわからない善意、というのを施せたら、陰で人が喜んでいる姿を見て、一つポイントをあげたことになるのではないでしょうか。
日本という平和な世の中では、物をもらっても素直に喜べなかったり、思いやりもかけづらいという変な遠慮が生まれてしまったりして…。
大震災以後、とにかく役に立ちたいと駆けつけ奔走する人たちの姿、また被災地で助け合う姿には、頭が下がるし、感動します。この、日本最大の逆境は、日本を強くする契機になっていると思います。
「愛」をどこに向けたらいいかわからなかった人たちが、注ぐ場所きっかけがこの大震災でできたように思います。
愛というのは周りまわるものです。多くの犠牲を受けましたが、残った私たちはそれをいい機会にしていかなければなりません。生まれ変わる機会、そこを間違わないことが、心をすり減らしてしまうか、幸福になるかの違いになると思うのです。
世界を見れば、大変な状況ばかりです。最近あえて、中東問題も取り上げていませんが、毎日が大変なことばかりで、命を掛けて抗戦する若者の姿など、考えさせられてしまいます。
「幸福」の貯蓄を増やせる今日一日となりますように。